我聞如是 わたしは、このようにお聞かせいただきました、、、
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2020年7月19日

迷わず〇〇してください

※備後組同朋婦人連合会研修会 2018.6.14 明圓寺にて宝田院住職がお話しした内容です。

ようこそ備後組同朋婦人連合会研修会へお参りくださいました。最初に三帰依文を唱和させていただきます。

人身(にんじん)受け難し、いますでに受く。仏法聞き難し、いますでに聞くこの身今生(こんじょう)において度せずんば、さらにいずれの生(しょう)においてかこの身を度せん。

大衆(だいしゅう)もろともに、至心に三宝(さんぼう)に帰依し奉るべし。

   自ら仏に帰依したてまつる。まさに願わくは衆生とともに、大道

   (たいどう)を体解して、無上意を発(おこ)さん。
   自ら法に帰依したてまつる。まさに願わくは衆生とともに、深く経蔵

   (きょうぞう)に入りて、智慧 海のごとくならん。
   自ら僧に帰依したてまつる。まさに願わくは衆生とともに、大衆を 

   統理して、一切無碍ならん。

無上甚深(じんじん)微妙(みみょう)の法は、百千万劫(ごう)にも遭遇(あいあ)うこと難し。我いま見聞(けんもん)し受持することを得たり。

願わくは如来の真実義を解(げ)したてまつらん。

 改めまして、福山市沼隈町常石の宝田院で住職をさせていただいております。三須と申します。大恋愛の末に得度してお寺に入り、その後、住職の資格を取りました。平生は保育所もさせていただいておりますので、保育所に出入りしています。昨年は大恋愛の余波で保育士資格も取りました。現在は男性保育士、いわゆる保父さんです。先日も保育園の芋植えや田植えをして参りました。御縁いただきまして、今日はお話しさせていただきます。

今回の講題は、「迷わず〇〇してください」です。みなさんは、この〇〇に何を当てはめられますか?別に就職試験や禅問答ではありませんので、ひねらなくても結構です。素直に思い浮かぶ字でお願いします。

「迷」という字は

「道」にあっちにいったり、こっちにいったり書きます。

心の向きが定まっとらんのです。一所に定まるようにしたくても、なかなかできません。だから何かに頼ろうとするのかもしれません。不安になるのかもしれません。不安を感じず、気にしないこと。これは大変勇気のいることかもしれません浄土真宗の特徴として「物忌みをしない」ことが大切です。占いごとや、まじないごと、物忌みは雑なる行、「雑行」なのです。蓮如上人の御文の中にも

「もろもろの雑行を投げ捨てて一心に弥陀に帰命すれば、不可思議の願力として、仏のかたより往生は治定せしめたまう」とあります。

しかし、これは大変難しいですね。毎朝、新聞やテレビの今日の占いに一喜一憂しているようではね。わかっちゃいるけど、やめられない。目の前に怒る事象に一喜一憂しているのです。どこか不安なんでしょうね。宝くじや受験票をお仏壇に飾ったり、日取りや方角を選んだり、験担ぎをしたり

親鸞聖人は『愚禿悲歎述懐和讃』で

かなしきかなや道俗の 良日吉日えらばしめ

天神地祇をあがめつつ 卜占祭祀つとめとす

悲しいことに僧侶や民衆は、何をするにも日の善し悪しを気にして選んだり、

天の神、地の神を崇めて、占いやまじないにいそしんでいる

と750年以上前に言われています。よくご法事に行くと「真宗もの知らず」「門徒もの知らず」「意味知らず」と耳にしますが、そうではありません。「真宗門徒物忌み知らず」が本来の言葉です。真宗門徒は「物忌みをしない」のです。法話を聞き、物忌みをしない自分の姿を訪ねていく。そういう意味で、仏教全般的に法話というものはありますが、

浄土真宗の特徴としてもう一つ大切なことは「聞法」です。一般的な仏教では亡き人の冥福を願い、追善供養する傾向がありますが、真宗では、亡き人を縁として、娑婆に生き残った私達が聞法供養させていただくのです。物忌みをするための知識教養を養うのではなく、ひとつひとつ法・教えを聞いていき、念仏を称え、本願力に出遇っいき、我が身に引き受けていくことです。

『歎異抄』

     煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、

     よろずのこと、みなもって、

     そらごと たわごと、 まことあることなきに、

     ただ念仏のみぞ まことにておわします

『高僧和讃』

     本願力にあいぬれば 虚しくすぐる人ぞなき

     功徳の宝海みちみちて 煩悩の濁水へだてなし

 同朋婦人連合会は、親鸞聖人の末娘、覚信尼公700回御遠忌の際に気運が高まり、結成された経緯があります。覚信尼公は親鸞聖人の最期を看取り、それまで多くを聞法されたことでしょう。寺地を寄進し、多くの同朋・門徒に真宗念仏の相続を託されました。「聞法」し、真宗の教えに出遇い、拠り所とすることから迷信を脱け、「物忌みしない」、身に起こる事実を受け止め、いのちを感じ、喜んでいくことこれが大事です。宝くじは100万人にひとりしか当たらない、病気やケガは治りづらい受験は努力して勉強しなければ通りません。

 さて、私は普段は子ども達と保育所で生活をしております。保育士ですからね。保育所を持つお寺としていつも考えていることは、お寺はヒマな方がいい。保育所は忙しい方がいい。分かりますね。お寺が忙しいと言うことは、、、くれぐれも長生きし欲しいですね。仕事したくないですから。一方、保育所が忙しいと言うことは、つまり子どもがたくさん生まれているという事実です。保育所はいくら忙しくてもいい。人口が増えれば、私達の年金も安泰ですから。しかし今日、少子高齢化・過疎化が深刻で、世に言う待機児童も一部の大都市圏に限られます。全体的に見れば少子化に悩んでいるのが現状です。この少子化ですが、その基準となる数字があります。実はその数字の大本に国政レベルで迷わされているのです。迷いとか、迷信とか、それに伴う忌むこと、いわゆる物忌みです。では、少子化の基準が国政レベルの迷いなのかお話しします。少子化の基準となる数字に出生率1.57という数字があります。1.57ショックとも言われています。これは合計特殊出生率が昭和41年1966年の1.58を下回ったという意味です。1989年平成元年に1.58を下回り1.58となりました。何故、1966年に出生率が下回ったか、ご存じですか。

「丙午(ひのえうま)の女」

丙午とは、干支十二支十干(じっかん)を組み合わせた60年周期の数詞十干十二支で暦を表示します。十と十二の最小公倍数が60ですからね。60年で一巡します。ちなみにこの60年で一巡して元に還るから60歳を還暦というそうです。

十干とは、

甲きのえ、乙きのと、丙ひのえ、丁ひのと、戌つちのえ、巳つちのと、庚かのえ、辛かのと、壬みずのえ、癸みずのと

干支の①番目は「甲子きのえね」、②番目「乙丑きのとうし」、③番目「丙寅ひのえとら」~60番目「癸亥みずのとい」

この暦は真宗の法話でよく耳にしますね。

しかるに愚禿釋の鸞、建仁辛の酉の暦、雑行を棄てて本願に帰す

                      『教行信証(化身土・末)』

弘長二歳 壬戌 仲冬下旬の候より、いささか不例の気まします

                     『御伝鈔下巻(第六段洛陽遷化)』

 では何故、丙午の女なのでしょうか?江戸時代に「八百屋お七事件」という出来事がありました。江戸時代前期、江戸本郷にお七さんという器量の良い娘さんが八百屋さんにいらっしゃいました。

1683年天和の大火

正仙院というお寺で避難生活を送る

寺小姓の生田庄之介と恋仲に

庄之介に会いたい一心に、自宅に放火

お七は放火の罪で鈴ヶ森刑場で火あぶり

お七さんが、1666年丙午生まれ

のちに井原西鶴の「好色五人女」で触れられる

時は流れ「丙午の女」というキーワードだけが残った。結果、迷信を恐れ、物忌みに走る人間の姿。60年に一度の人口減少の社会現象が起こります。

「迷信の実験」

1951年アメリカの心理学者スキナーの実験

ハトに餌をあげる実験

イギリスでの人体実験 人間がハト同様奇行に走る。

「人間には起きた現象に対し、その原因を探してしまう習性がある」そこから迷信が生まれる

「雨乞いの儀式」

たいていは、手段を変え、人を変え、雨が降るまで続けるから雨が降る

鎌倉時代 吉田兼好 『徒然草』第91段

赤舌日(しゃくぜつにち・陰陽道の羅刹神が支配する日で、平安時代あたりから不吉だとされるようになった)という日は、陰陽道において特に不吉だとかと問題視してはいない。昔の人はこの日を忌まわしい日だとしていないのである。

昨今、何者かが不吉だと言いだして忌み嫌われるようになったのだろうか。

赤舌日に始めたことは最後まで上手くいかないと言って、その日に言ったこと、したことは成就せず、手に入れた物は失い、計画したことも達成できないのだと言う。ばかばかしい。

  吉日を選んでやったことでも最後まで遂行できずに終わる事例を数えてみても、その数は同じ程度であろう。

  無常で何もかもが一定せず変化し続ける世界の際では、そのままあり続けることはない。始まったことが、終わりを遂げることもない。志は実現せず、望みだけはいつも湧き起こる。人の心とは定まるものではないのだ。物は全て変幻する。
  いったいどの物がずっと同じ状態を維持していられようか。この論理を知らないために、赤舌日を忌み嫌うようなことが起きるのである。

  「吉日に悪いことをすれば、結果は必ず凶になる。悪日に善を行えば、必ず吉になる」と言うではないか。吉凶はその人によって起こるものであり、日によって起こるものではない。

吉凶は人によりて、日によらず

 結局は私の中にある心が自分の都合に合わせて、吉凶を計っているんですよ。こうやってお話を聞くことによって、私の中にある自分に都合の良い「ものさし」が見えてきませんか?あっ、そういえば・・・思い当たる節がありませんか?聞法の効果かもしれませんね。丙午生まれの女性はみんな気性が荒いですか?丙午生まれでも立派な女性はいらっしゃいますよ

1906、明治39年女優の杉村春子さん。1966昭和41年秋篠宮紀子様、マラソンの有森裕子さん、シンクロナイズドスイミングの小谷実可子さん、女優の早見優、鈴木保奈美、安田成美さん、ミュージシャンの永井真理子、渡辺美里

松本明子、江角マキコ、小泉今日子、斉藤由貴、広瀬香美

やっぱり、丙午の女か、、、ちなみにわれらがカープ前監督の野村謙二郎

迷わず、直進してくださいよ

迷わず、優勝まで直進してくださいよ

 

善導大師の『二河白道の譬え』で

人界の教主釈迦如来は、この道を進めと進められ

浄土の阿弥陀如来は、この道を進んでこいと招かれています。

 

迷わず直進してください

迷わず聞法してください

ええ話聞いたな、何かしたいなあ、自分にできることは何かな

迷わず寄付してください

迷わず布施してください

私の中に生まれる不安な気持ちにつぶされることなく、まっすぐ生きてください。

2026年丙午を迷いなく迎えましょう

真宗門徒は、聞法をする

真宗門徒は、物忌みをしない

みなさんは、どんな迷信や物忌みをご存じですか?ここで休憩を挟んで、ミニ座談会をしてみましょう

蓮如上人は

 四五人の衆、寄り合い談合せよ。必ず、五人は五人ながら、

意巧(いこう)にきく物なり。よくよく談合すべき  『蓮如上人御一代聞書』

簡単にグループに分かれますできれば、坊守さんに、それぞれのグループに入っていただければ助かります。ミニ座談会のテーマは「私の身の回りの迷信・物忌み」です。今回のミニ座談のお約束を確認します。人の意見は批判しません。その話の内容をみなさんで受け止めてください。個人的な情報は、今日のお話同様、すっかり忘れていってください。特に司会や発表者も決めません。自由にお話ください。

先にも言ったと思いますが、私の考えはボウズはヒマな方が良い。今日の仕事はおしまいです。楽します。    

                                                    合掌

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