照々坊主のつぶやき
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2024年1月4日

長生き競争

2024年年明けに宝田院の本堂で通夜・葬儀が勤まりました。

お通夜の席でのお話を少しさせていただきます。

 

 93歳の故人のお通夜は、身内・親族により営まれましたが、故人の同級生(つまり同じ93歳の幼なじみ)が弔問にお越しになられていました。この同級生の方は、枕勤めの時にもご臨席され、その時故人の生前のお話を聞かせていただきました。

(故人が)常石に来られる際は、いつも自宅を訪問し、顔を合わせていたそうです。年々同級生が還浄(亡くなりお浄土に還っていく)していく中で、お二人は『長生き競争』をされておられました。「どっちが先に逝くか」「どっちがより長生きするか」と競争をされておられたそうです。

常石の方は、同級生の訃報を受け、同級生の枕勤めに足を運ばれたのです。2024年の年明け、折しも第百回箱根駅伝で青山学院が優勝した日。

翌日のお通夜にもご臨席されました。その際、この二人の同級生の『長生き競争』を紹介させていただきました。

 

「箱根駅伝」は、先にゴールしたものが勝者となり歓喜の声に包まれますが、

『長生き競争』は、後に遅れた者(同級生に先立たれた者)が勝者となりますが、そこには惜別への悲しみに包まれます。

長寿つまり「長生き」は、有り難いことではありますが、友や大事な方との別れを痛感しなければなりません。

 仏教には『愛別離苦』という言葉があります。大事な方とのいつか訪れる別れは苦しみです。では、四苦である『生老病死』の中、「生きる」ということは、つらい事なのでしょうか?

私は、枕勤めの際にお勤めする『阿弥陀経』の「倶会一処」という言葉に支えられます。

極楽浄土の阿弥陀如来は、すべての人を極楽へ掬い取ってくださる。だから、みんな同じ処で会える。

先に逝った者も、後から逝く者も、、、

ならば、後から逝く者は、先に逝った者へ、その後のシャバの様子を伝えるために、目一杯生きてほしいと思います。

合掌

 

 

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